- 梅毒
- クラミジア感染症
- 淋菌感染症
- 性器ヘルペス
- 尖圭コンジローマ
- トリコモナス尿道炎
- 性器カンジダ症
性器感染症(性病)
性器感染症(性病)
性感染症とは、「性的接触によって感染する病気」と定義されます。普通の性器の接触による性交だけではなくオーラルセックスやアナルセックスなど性的な接触で感染するすべてが含まれます。したがって特殊な状況での感染もありますが、通常の人としての営みの中で誰もが感染する病気であり、誰にでも生じ得る健康問題であるといえます。
また生殖年齢にある女性が罹患した場合には、おなかの赤ちゃんや出生した新生児への感染など、母子感染として次世代にも影響が及ぶことがあるということも性感染症の重大な注意点です。
性感染症は、正しい知識と注意深さによる予防、そしてもし罹患した場合には早期の発見と早期治療が重要です。最近、性感染症(STD: Sexually Transmitted Disease)という「病気」だけではなく、症状が出ていない「感染状態」も含め広く考えるために、性感染(STI: Sexually Transmitted Infection)という語が使われることも多くあります。
梅毒は梅毒トレポネーマによる性感染症で、近年爆発的に増加しております。今や、危険な性行為を行う特定の人達の疾患ではなく、ごく普通の性的活動で感染する疾患となっています。
約1か月(個人差あり)
粘膜や皮膚の接触を伴う性行為(膣性交、肛門性交、オーラルセックス)などで感染します。
梅毒は感染した後、その期間によって病状が異なります。
第1期(感染後約1か月)
感染した場所(陰茎など)にしこりや潰瘍ができます。股のリンパ節が腫れることがあります。治療しなくても、数週間で症状は消えます。
第2期(感染後約3か月)
手のひらや足の裏、全身に赤い発疹やぶつぶつができます。治療しなくても、数週間から数か月で症状は消えます。
後期(感染後数年から数十年)
やわらかいゴムのような腫瘍が体中にでき(ゴム腫)、この時点でも治療を行わないと大動脈瘤、髄膜炎や神経障害(神経梅毒)などが生じます。
血液検査(当院では迅速検査は行っておりません)
※感染したと思われる時から4週間以上経過していれば検査可能です。
抗生物質の内服
日本におけるクラミジア感染者数は100万人以上と言われ、感染者が一番多い性感染症です。クラミジア・トラコマティスという病原体が原因で、男性の場合は主に尿道炎を生じます。
1~4週間
男性の場合、尿道がむずかゆくなったり、排尿時に軽い痛みがある程度です。尿道分泌物による下着の汚れで気付くこともあります。治療しないと精巣上体炎、男性不妊症を起こします。
男性の場合は尿や分泌液の遺伝子学的検査で診断します。血液クラミジア抗体を調べる検査は、過去に感染し、治癒した人も陽性となることがあります。検査結果が出るまで約7日間必要です。
抗生物質が有効です。
「淋菌」に感染して起こる性感染症です。1回のセックスでの感染率が約30%と高く、また、淋菌に感染した人のうち、クラミジアに同時感染している人が20%~30%いると言われています。また、薬が効かない「耐性菌」が増えているため、正しい治療を受けなければ完治せず、次々に感染を拡げてしまう危険性があります。
2~7日
男性の場合、尿や分泌液の培養検査をします。尿や分泌物で淋(りん)菌DNAを検査する方法もあります。
また淋病に感染した方の25%くらいにクラミジアの感染が合併していますのでこれに関しては尿を用いてクラミジアの遺伝子検査をします。結果が出るまでには約1週間必要です。
淋菌に有効な抗生物質を使います。薬の効かない「耐性菌」が増えているため、飲み薬での治療は効果がないことも多く、その場合は点滴による治療が必要になります。治療中の性交渉は厳禁です。
性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスによる感染によって生じる性感染症です。単純ヘルペスウイルスには、1型と2型があり、性器ヘルペス感染症は、主に2型によって起こされますが、主に1型で起こる口唇ヘルペスのウイルスも、オーラルセックスなどが原因で性器にも感染するため、型による区別は出来なくなっています。
単純ヘルペスウイルスは一度感染すると体内(神経節)に潜伏し、疲労が重なったときなど、時に再活性して再発を繰り返します。
3~7日
症状はないことが多いですが、性器に小さい水疱や潰瘍ができることがあります。
抗ウイルス薬の内服で治療します。
尖圭コンジローマは性器や肛門のまわりに2~3mm前後のイボが多発する病気です。尖圭コンジローマが起こる原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの感染です。ほとんどがセックスやそれに類似する行為により感染する性感染症の一つです。他の性感染症と同様に、10代後半から30代、特に20代に多く見られます。パートナーなどへの感染を防止するためにも、積極的な治療が必要です。
数週間から3か月
特徴的なイボを視診で確認します。
お薬による治療
尖圭コンジローマ治療薬として世界の75以上の国と地域で使われている塗り薬(クリーム)が、日本でも2007年12月より健康保険が適用される薬として発売されました。自宅でイボに直接塗って治療することができ、瘢痕(傷跡)などを残す可能性が少ないですが、塗った部位の紅斑(赤み)、びらん(ただれ)、表皮剥離(表皮のはがれ)などの皮膚障害が高い頻度であらわれ、完治まで時間がかかります。
外科的治療
⇒当院ではこれら外科的治療は行っておりませんので、必要な場合は紹介いたします。
トリコモナス症はトリコモナス原虫という微生物が、男性の場合、尿道や前立腺、精嚢に入り込み、炎症を引き起こす病気です。主に膣性交により感染しますが、下着やタオル、便器、浴槽での感染する場合があり、性交経験がない方や幼児にも感染がみられることがあります。
1~3週間
男性の場合、症状がないことが多く、あっても排尿時の痛み(違和感)や頻尿がみられる程度です。
尿検査
抗トリコモナス薬の内服
カンジダはカビ(真菌)の一種です。性器カンジダ症はセックスで感染しますが、健常な方でも性器にカンジダを持っていることがあるため、性器からカンジダが見つかったとしても性器カンジダ症を発症しているとは言えません。発症には免疫力低下や抗生物質内服など、何らかの要因がある場合がほとんどです。
何年にも及ぶことがあります。
男性では亀頭、包皮のかゆみ・発赤、白いカスが付着します。まれに尿道炎を引き起こします。
治療が必要な場合は抗真菌薬の塗り薬で治療します。